「シェアビジネスには落とし穴がある」という前回の続きです。
日本でシェアビジネスと言えば思い当たるのが、
シェアハウス、カーシェアリング、シェアオフィス。
このあたりは皆さんも聞いたことがあると思います。
住まいの共有部分を他人とシェアする。
車を他人とシェアするなど、「使わない時間=ムダ」
ということからすれば、ムダをシェアすることで
コストが下がるという合理的な考え方です。
この仕組み自体はエコですので世界的に普及するのは
不思議ではないですね。
この仕組みになにか問題があるかではなく、今回の話は、
なにかムダを見つけてシェアするビジネスを思いついて
起業したときに、それが継続的な収益をもたらすストック
ビジネスになるか?を検証しようということです。
私は、7年前、貸会議室事業を始めた時に、「将来は
会社の会議室の使っていない時間を他人とシェアする
時代が来るに違いない。」なんて合理的だろう、と夢をみて
「シェア会議室」(商標登録済)という仕組みに資金も
時間も投入しました。
しかし、この構想は崩れ去りました。
後には、そのときに開発した「管理システム」だけが残った。
まあ、そのシステムのおかげで今の会議室事業ができた
とも言えるので、無駄にはならなかったのですが、
とにかく「誰からも絶賛されたアイデアが成功するとは限ら
ない」典型的な失敗例です。
ここにストックビジネスのヒントが隠されていますので
起業や新規事業を考えているあなたの参考にしてもらい
たいと思います。
さて、私の失敗など関係なく、その後シェアリングエコノミ
ーというシェアビジネス自体は拡大しています。
最近では世界的サービスの「Airb&b」のように自分の
家を旅行者の宿泊に貸すサービスには時価総額1兆円の値がついて
いるそうで、1年間に600万宿泊数は世界最大のホテル
チェーンよりも大きいそうです。
こんなに成功しているのに、
大竹さん、いったいどこに落とし穴があるんですか?
と言われそうです。
Airb&bを利用して民泊で貸すこと自体の合法性うんぬん
は置いておくとして、Airb&bを起業した会社はストック
ビジネを作れるのかを考えます。私のように、思いつきで
シェアビジネスを起こすとその後どうなるかとの比較です。
[ストックビジネス 収益ユニットの3要素]
覚えていますか?
基準の収益 ✖ 増加数 ✖ 継続率
(本書172P)
どれか1つが極端に悪いと失速してしまいます。
なんとか継続できても大きなストックにはなりません。
Airb&bの場合を見てみると。
1 (基準の収益)は 〇 利用料に一定のフィー。
2 (増加数)は ◎ 次から次と個人で登録者が増えています
3 (継続率)は 〇 ※日本の場合には合法かどうかもあり
不確定要因はありますが、世界的には各地で合法化されています
つまりAirb&bはストックビジネスの要素を満たしています
最大の強みは、個人が部屋を「借りて提供しても利益になる」
ということから一気に増加数が確保できたこと。
さて私の「シェア会議室」はどうでしょうか
1 (基準の収益)は 〇 利用料に一定のフィー。
2 (増加数)は × 理由は後記
3 (継続率)は 〇 営業できたところは2年以上続いた。
[失敗の検証]
なぜうまくいかなかったのか?
それは、一般企業のオフィスをシェアする仕組みでは新規会場
の増加数を確保できなかったことです。
この要因を見誤って、利用者がいるものだから「いけそう」
という気持ちで始めてしまいました。私は不動産の法律に少し
ばかり自信があったのがアダになりました。
弁護士とも協議して、大手不動産会社にヒアリングもした
上で、理論的にはクリアできるということだったのですが
日本の商習慣は「グレーに見えるもの」には積極的に取り
組んでもらえませんので、なかなか会場が増えませんでした。
自分がいくら大丈夫と分かっていても、わかりにくい
のはダメですね。
1人2人で細々とならできるでしょうが継続的に拡大する
ビジネスにしようとするとストックビジネスにしなければ
いけないので、これは諦めました。
アイデアだけでは上手くいかないのがストックビジネスです
、一見エコで社会性がありいいアイデアだとついやりがちで
すが、長期でビジネスにできるかどうかは、よく考えたほう
がいい。始めたらやめられないのがストックビジネスですので・・
もし「だれでも部屋を借りて提供すれば利益になる」という
Airb&bのようなモデルなら勝手に増加数も確保できて成り
立ったと思いますが、会議室の場合には個人が借りて儲かる
ものではなく、あくまで企業のムダがあテーマでした。
一言で言えば、増加数が確保できない段階で、ストックビジネス
の完成度は高くなかったということです。
実は今でも「シェア会議室」は運営しています。
商品そのものが悪いわけではないのです。
ストックビジネスにはなっていないが単品ではやって行けます
のでいまでも自社の会議室で利益を出したい会社向けにサービス
を提供しています。大きな会議室で希望があれば連絡ください。
アイデアをストックビジネスにしようとした私の試みは失敗
しましたが、ここにストックビジネスをつくる際の学びはあり
ました。
シェアビジネスの撤退が予想される
今、世の中のムダをシェアするアイデアで事業を始める
起業家はますます増えると思います。アメリカで
流行している「エアピーアンドピー(Airpnp)」という
サービスは、「ピー(pee)」は英語で小便のことで、
「エアピーアンドピー(Airpnp)」では自宅や店、事務所
のトイレを1ドルなどの金額で貸すというものです。
面白いですよね。
シェアビジネスは数が一気に増えて成立し、その増加数が
担保された時に初めてストックビジネスになります。
これからは、部屋だけではなく、駐車場や家具などあらゆる
ものがシェアリングの対象になると思います。
Airb&bの真似をしても商習慣や法律、所有者のマインド(面倒)
など増加数を確保できない要素から、ストックビジネスにならず
に途中で投げ出すシェアビジネスも増えることでしょう。
失敗の許されない環境ならば、始める前にストックビジネス
としての将来性を収益シミュレーター(本書183P)で検証して
ください。
「ストック思考」が身に付くと、振り回されること
なくストックになるかどうか本質が見えきます。
ただただストック思考の環境に身を置いてコンテンツ
に触れていることが肝心です。
ストック思考の環境を用意できるのはSBAのコンテンツ
だけです。
お試しもありますよ。