昨日はアマゾンがダッシュボタンの日本でサービス開始をリリースした
からだろうがその話でもちきりだった。
ダッシュボタンとは、日用品の近くに小さな発注端末(ダッシュボタン)を置いておいて
商品が無くなるとそのボタンで1クリック注文ができるというもの
ボタンは500円で購入しますが、ボタンを通じた初回注文時に500円差し引かれるので実質無料。
Amazon Dash担当ディレクターのDaniel Rausch氏は、「日用品の買い物はただの労力であり、ショッピングに行っても楽しいものではない。Amazonのミッションは、日用品のシッピング体験を消滅させることだ」(引用:cnetjapan)と言っています
(サイト上部をクリックすると動画説明がわかりやすい )
※スマホだと動画が表示されないようです
でも私はここで、ちょっと引っ掛かりがある。
「日用品の買い物はショッピングに行っても楽しいものではない」・・・なるほどね
でも本当だろうか? 違和感があります。
アマゾンのミッション
そこでAmazonのミッションを調べるとこの3つでした
「地球上でもっともお客様を大切にする企業であること」
「地球上で求められるあらゆるものを探し、発見でき、購入できる場を提供する」
「常にお客様からスタートし、お客様の立場でいろんなことを考える」
創業者ジェフ・ベゾスは、「短期ではお客様に満足度を与えられない。長い目で見ることによって、本当の意味でお客様が高い満足度が得られるんだ」と言っています
この発想はなかなか言えない。
「長い目で見ることによって、本当の意味でお客様が高い満足度が得られるんだ」ということは連続的に購買してもらおうという究極の継続率追求ストック思考です。
Amazonはアメリカ企業にあってアメリカ的ではない実にユニークな会社です。普通なら上場したら赤字を長年垂れ流すことはありえないが、Amazonは違っていました
2015年でさえ1070.06億ドルの売上で営業利益率は2.1%。利益を押上ているのはAmazon Web Services(AWS)というクラウドコンピューティングのITインフラサービスです。
(引用:ガベージニュース)
これはジェフが創業時に書いたビジネスモデルの絵ですが、お客様にとっての「選択肢を増やす」と「お客様の満足度が上がり」、満足度が上がると「トラフィックが増える」そしてamazon.comのサイトにどんどん人が寄ってくる。すると、「そこでものを売りたい」という方が集まる。集まると、「選択肢が増える」するともっと「お客様の満足度が高くなる」これをアマゾンのgrowth cycle(成長サイクル)として回していくというものですが、これを実現するにはどんどん価格を安くしていく必要がある、利益を出さずに投資を続けていく理由はここにあります。
本の通販から物販へ物流倉庫という流通インフラへの巨大投資そしてITインフラへの投資と、利益をすべて投資に回すジェフ・ベゾスは目先の利益よりも低価格を実現する投資に重きを置いた。
いまやアメリカ発の成功ビジネスはことごとくストックビジネスですが、短期的収益しか見ない時代にAmazonの戦略は、当時批判がありながらもIT技術を使って長期的利益を追求するモデルとして成功を収め実証したわけです。今ではストックビジネスが高い評価を得るようになってきました。
アマゾンダッシュボタンの価値からストック思考
さてそのAmazonがこのダッシュボタンにはどういう意味があるのか
「日用品の買い物はただの労力であり、ショッピングに行っても楽しいものではない」というのはたしかにわかるが、本来買い物自体は楽しいものです。
このボタンの怖さは、物が無くなったと気づいた瞬間に購入ボタンを押させるということだと思います。これ以上の川上は存在しません、他を選ぶ隙間がない。
ボタンは商品の近くに置くらしいが家中にこのボタンが・・ちょっと耐え難いので、たぶんデザイン的にはまだこの先にイノベーションがあると思います
楽しみに待ちましょうと言いながら、試しに一個買ってみました。(笑)
セット完了。
早速一個注文。。1回触れただけで終わりは自販機ですね。
「これは自販機のボタンだ」と今朝ストックビジネストレーナーの冨山さんから驚きのメールが来たのも頷ける
いや、お金を入れないからそれ以上に便利な感覚かもしれない。
実際に、ドンキホーテ、ドラッグストアで日用品を探す楽しみがある人も多い
日本市場でどうなるかとても気になるところです。
隠れたポイント
実はあまり目立たない報道だったのが、家電機器と連携して日用品の再注文を自動化する「Amazon Dash Replenishment(アマゾン ダッシュ リプレニッシュメント)」
私はこちらの方に強く反応した
日本では当初、アイリスオーヤマ、エレコム、シャープ、船井電機、三菱レイヨン・クリンスイがパートナーとなったそうです。これならボタンも目立たない。(笑)
こちらは再注文が完全自動化。通常自動注文はPCなどでインターネットとつながっていなければ出来ないですが、ついにこの小さなWIFI端末が機器に入れば可能になる。これは産業のインフラになるかもしれません。またここにもAmazonが入ってくる。
さて、実際に使ってみましたが、1品に1ボタンは自動販売機のボタンの感覚で
正直にいうと選べない不便さがある、仮にその商品に飽きたらどうなるかというと、実は同じメーカーまら違う商品を選べる、もしくは他のメーカーのボタンを購入する。
んんんん・・・やはり家中がボタンだらけになってしまうので、こういう普及の仕方はしないでしょう。
そもそも「選択肢を増やす」と「お客様の満足度が上がり」、満足度が上がると「トラフィックが増える」という創業時のコンセプトとは反する、メーカー(商品提供者)寄りの発想になっている。
はて、どうしたのかな??Amazonらしくない?
ただ、私が感心するのは不具合を想定してもあえて商品化する部分はイノベーターです。
周辺業務が生まれてくる予感はします。
例えば、いくつかのボタンを統合するアプリなどすぐに出来るでしょうね。でもこれを中小企業がやるとストック性がなくて一時良くてもあとで後悔しそうです。
「これはもしかしたらビジネスになるかもしれない。」
そんな風に思えたら、こう思考してください。
ダッシュボタンの機能とは・・・
その利点は・・・
Amazonの強み・・・
長期的視点・・・
そして
そこから生まれるアプローチ・・・
こうして教科書で解説するストック思考をリノベーションシートで可視化すると、かなり面白い解読が出来ます。
するとダッシュボタン周辺にストックビジネスを見いだせそうですが、今日はここまでにします。
今度時間があるときに改めてリノベーションシートで解説しようと思います。
(リノベーションシートはHPからダウンロード出来ます)
Amazonは研究対象としては実にユニークで面白いが、事業家の私としてはAmazonやGoogleの動きはビジネスのルールが一気に変わるので恐怖です。
では今日はこの辺で。
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